熱いケトルを素手で持てるようにする方法
はじめに
我家では毎日朝起きたら熱いお茶を飲むのためガスコンロでお湯を沸かしてますが、使用している小型のケトル(やかん)の取っ手(ハンドル)が熱すぎて素手では持てないことが多いです。
熱すぎてハンドルを握れない時は、ヤケドしないようミトン(鍋つかみ)を使ってハンドルをつかむのですが、いちいちミトンを取り出し、使用後戻すのが面倒くさいのです。
現在使用しているケトルの残念な部分
現在使用している小型のケトルは、1.8L パール金属 月のうさぎ ステンレス製ケトルです。
ケトルはコンロの横に出しっぱなしなので油で汚れてますが、頑固な油汚れはスチールたわしで擦り落として掃除してます。
本体がホーロだったり、おしゃれな色に塗装されているケトルは、ハンドルが熱くなりにくい天然木のものがありますが、塗装が剥げるのため購入したことはありません。
よって、我家ではステンレス製のケトルを使っているのですが、このケトルはハンドルが熱くなる以外に3つ残念な問題をかかえています。
1つ目は、蓋の嵌合があまいので、お湯を最後まで出そうと大きく傾けると蓋が自重で外れるのです。
2つ目は、ケトルの底が変形して盛り上がってしまったため、鍋敷の上においても傾いて安定しません。
3つ目は、笛吹タイプではないので、お湯が沸いたこと気が付かず、ムダにガスを使ってしまう場合があります。
以上の3問題を解消するために、安くて使い易いケトルがないか探していたところ、西友でリラカンの1.6L 笛吹ケトルが半額の770円(税抜)で叩き売られていたので衝動買いしてしまいました。
しかし、お湯を沸かすとハンドルが熱くなり素手では持てませんでした。😓
なぜケトルのハンドルが熱くなるのか
ハンドルが熱くなる原因を簡単に言うと、ケトル本体が熱くなり熱伝導でハンドルが熱くなるのではなく、高温の上昇気流によるものです。
コンロの高温ガスは燃焼によりケトルを加熱しますが、燃焼で発生する排気は上昇気流となり、ケトルの真上にあるハンドルが熱されるのです。
本当?と思う方は、コンロにケトルをセットし火をつけ、手をハンドルの上に置いてみて下さい。数十秒後には熱くて手を置いてられないと思います。
詳しく知りたい方は「ガスコンロの燃焼廃気流モデル」「CFD によるガスコンロ上の熱上昇気流の再現に関する研究」という論文を参考にご覧下さい。
また、神奈川県は笛の付いたやかんの笛部分の温度変化について商品テストを実施していますが、サーモグラフィによる温度測定を見ると、加熱中のハンドル部分は55度以上になっていることが分かります。
安全な接触温度とは
調理器具には取っ手に「ヤケドに注意」というシールが貼られてますが、何度以上だとヤケドになるリスクがあるか知ってますか。
「平成 17 年度 食品機械の安全設計対応に関する調査研究報告書 -国際安全規格利用手引き 機械安全編-」のページ146~148の説明によると、1分未満の接触でヤケドしない温度は、無被覆金属は51度、プラスチックは60度となってました。
また、無被覆金属は10秒以下の接触でヤケドしない温度の上限は55度となってます。
残念ながらケトルは食品機械ではないので上記安全規格の適用外ですが、目安の1つで覚えておくと良いでしょう。
ケトルのハンドルが熱くならない方法
大きく3つの対策を考えてみました。
対策1:「IH調理器」か「電気ケトル」を使用する
ガスコンロでお湯を沸かすのを止め「IH調理器」か「電気ケトル」を使用するのが有効です。
なぜなら、燃焼を行わないので高温の上昇気流は発生しないからです。
但し、金属剥き出しのハンドルだと、熱伝導で熱くなってしまうので、素手ではつかめないと思います。
対策2:ガスコンロの火力を中火にする
中火とは、炎の先端が鍋底にちょうど当たる状態の火加減です。そして、炎の輪は鍋底より一回り小さい状態で燃焼してます。
中火だと燃焼で発生する排気の上昇気流が弱くなるため、ハンドル部分の温度上昇を下げることが期待できます。
ちなみに、強火と中火での水の沸騰を比較すると、中火は強火より1.6倍時間が長くかかりますが、ガス代は19%節約できます。
一方、弱火だと強火より4.3倍時間が長くなり、ガス代は11%も高くなります。
時間に余裕がある場合は、中火がエコだと言えます。
対策3:ハンドルを紐で覆う
ハンドルを「熱くなりにくい素材で接触面積が少なくなる構造で覆う」方法は効果が期待できると考えました。
今回の記事は対策3を紐を使って実践したものですが、インスタ映えするようにデコレーションまでやってみました。
準備するもの
アウトドアで使用されるパラコードかポリエステル製の紐(ロープ)をご用意下さい。
紐の長さはハンドルの太さで変わりますが6m程度で足りると思います。
パラコードはネットやホームセンターで購入できますが、ダイソーだと「キャンピング用ロープ(12m)」「キャンピング用蓄光ロープ(7m)」が売ってます。
当初はダイソーのパラコードを使おうと思ったのですが、好みの色でなかったので、CanDoで中Φ4㎜、長さ:3mの江戸打紐を2個購入しました。
パラコードだと中の芯を抜くことでスリムに巻くことが出来ますが、江戸打紐はもともと芯がないので、これで良しとしました。
なお紐の材質ですが、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロンは軟化点/溶融点が低いのでポリエステル100%の江戸打紐を選択しました。
ロープワークの実施
購入した紐が短い場合は、2本の紐を結んで1本にして下さい。
2本の紐を1本にする方法はたくさんありますが、強度を出すために「Double Fisherman's Knot」という方法で結びました。
結び方は下記URLのイラストを見て下さい。
イラストを見てもピント来ない場合は、動画を見て練習してみて下さい。
ハンドルをデコレーションする
「West Country Whipping」という結び方がカッコよくて綺麗なので、この方法でハンドルに紐を結び巻き付けて行きました。
「West Country Whipping」は表と裏を交互に結んで行くとてもシンプルな方法ですが、網目がきれいにできる結び方です。
動画を2つ貼っておくので、興味がある方はこれを見て練習してみて下さい。
キャンプにずっと行ってなく、久しぶりのロープワークだったので、作業終了迄40分かかりましたが、綺麗にハンドルに紐を巻き付けることが出来ました。
側面から見たハンドル
天面から見たハンドル
次に、お湯を沸かして熱くないかテストしたところ、無事ハンドルを素手で握ることができました。
また、手が濡れていても紐の凸凹でグリップが効き滑る心配もなくなりました。
なぜ素手で持てるようになったのか
ハンドルの表面が紐の複雑な網目の凸凹で指との接触面積が少なくなり、ハンドルをつかんだ時に伝わる熱量が少なくなったのでは、と考えます。
また、江戸打紐は、通常の丸紐が16打ちに対し、太い糸で8打ちで粗く組んだ紐なので、密度が低く通気性が高いため、放熱しやすいのでは、と思われます。
ハンドルの温度さらに下げる裏技
どうな方法かと言うと超簡単で、紐を水で濡らしておくのです。
ケトルに水を入れる際に、わざとハンドルを水で濡らし強火でお湯を沸かしましたが、ハンドルはぬるま湯くらいの温度で、しっかり握っても大丈夫でした。
これはうれしい発見でしたが、紐に吸収された水が熱で気化することで温度上昇を抑えることができたようです。
以上のテストで紐の熱対策効果が確認できたので、ハンドルの見栄えを良くしたいと思います。
インスタ映えするハンドルのデコレーション
色違いの2本の紐を使いカラフルなデザインに変えることにしました。
使用する江戸打紐はパープルとレッドの2色です。
テストで行ったように2本の紐を「Double Fisherman's Knot」で結びます。
先端をカットし、ほつれ防止のためライターの炎で少しあぶって溶かします。
紐の先端焼きは、100均に炎調整レバーがあるトーチマンが売っているので、これを使用すると上手くできると思います。
側面から見たハンドル(2色)
天面から見たハンドル(2色)
紐の巻き始めのコブや焼き切った先端が気になる方は、2本の紐を普通に結び、余った部分を外側から挟み込みながら巻くと、きれいに仕上がると思います。
なお、管理人はやり直す気色と体力が残ってなかったので、はんだコテで紐の先端を溶かしてごまかしました。ライターで炙るよりは、きれいに仕上げることが出来きたと思います。
巻き始め側
巻き終わり側
まとめ
ケトルのハンドルに紐を巻き付けてデコレーションすることにより、ケトルのハンドルを素手で持てるようになりました。
紐の結び方を工夫したり、複数の色の紐を組み合わせることで綺麗な模様が形成でき、安物のケトルの見た目をおしゃれにドレスアップすることができました。
100均の紐で手軽にデコレーションできるので、興味がある方は是非お試し下さい。
なおケトルやヤカンの製造メーカーは繊維ロープの製造メーカとコラボし、ハンドルを紐でデコレーションした独自商品を出すと人気が出ると思うのですが、如何でしょうか。
追伸
古いケトルですが、テストで使った黒の江戸打紐をハンドルに巻き結んで使ってます。
以前熱くて握れなかったハンドルは、お湯を沸騰させても素手で持つことは出来るようになりました。
また、このケトルのハンドルは細かったのですが、いい感じの太さになりました。
今後は植木の水差しで使うことになりそうです。
2022年12月3日 追記
セリアでちょうど良いパラコードを見つけましたので、これでコーヒーのドリップポットのハンドルをデコレーションして見ました。
なかなかいい感じに出来ました。
ケトルで沸かしたお湯をドリップポットに移し替えて使っているので、ハンドルは全然熱くないのですが、紐の網目でグリップが効き持ちやすくなりました。
コーヒーを淹れるのが楽しくなりそうです。
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— heavy-peat|Web CodingとAV好きなエンジニア (@AfterWork_Lab) November 22, 2022
ケトルのハンドルが熱くて持てないので、DIYで紐を巻き付けて熱対策した記事です。
インスタ映えする巻き方もやって見たので、興味がある方は参考にご覧下さい。#ケトル #ヤカン #ヤケド防止 #Blogger
それでは今回の記事はこれでおしまい。