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eスポーツのマウスを修理する方法

2020/08/22

Repair


はじめに

 

久しぶりの修理ネタです。

 

調子が悪いLogicoolのG402というゲーミングマウスを入手したので修理にチャレンジしたのですが想定外の構成だったため結構手こずりました。

 

eスポーツやゲーマーの方で類似のマウスを持っていて、修理したくなったらこの記事がきっとお役に立つのではと思い、悪戦苦闘した部分を中心に紹介したいと思います。

 

どこが調子悪いのか?

左クリックボタンの調子がおかしく、使っているうち突然チャタリングが発生し、カーソルが飛んだり文字が掴めなかったりするものです。

 

eゲームは1msを争う競技で動きも激しくマウスが酷使されると聞いてます。

 

従って、部品は廉価版よりグレードが高いものが使用されているはずですが、問題のマウスは2年~3年使用で調子が悪くなりました。

 

Webで仕様を確認すると保証期間は2年となってました。丁度故障したのでソニータイマーみたいな製品ですね。

 

チャタリングの原因がマイクロスイッチの接触不良だと部品交換となりますが、バラして見ないとはっきりしたことはわかりません。

 

Logicool G402とは

Logicool G402は2014年8月に発売されたゲーミングマウスで、世界最速500IPS(日本国内は420IPS)のトラッキング速度を誇ります。

 

 

触ってみた感想ですが、ブルーLEDが光る少し派手なデザインで、巨大なクワガタに見えました。このマウスをデザインしたデザイナーはきっとおっさんだなと思いました。

G402 Hyperion Fury FPSゲーミング マウス - ロジクール

世界最速のゲーミング マウス。G402 Hyperion FuryはロジクールのDelta Zeroテクノロジーに加え、独自のFusion Engineを搭載しています。詳細はこちら。

 

YouTubeの動画を見るとF1マシン見たいに高速ですっ飛んでました。

500IPS(420IPS)を仮に実速度に換算すると457㎞/h(384㎞/h)となり、F1の最高速度331㎞/h東北新幹線「こまち」の最高速度320㎞/hよりぶっちぎりで早く世界最速の車ヘネシーヴェノムGTの最高速度434kmよりも速いのです。

 

しかし、上には上が居てもっと速いスポーツがありました。

 

どんなスポーツか皆さん分かりますか?

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

それはバトミントンです。

 

何とバトミントンの羽根の初速のギネス記録は493㎞/hなのです。

ギネス世界記録™認定の「スマッシュ初速493km/h」が2015年度版『ギネス世界記録』に掲載されました

2013年7月28日、ナノレイZ-スピードを用いてタン・ブンホン選手(マレーシア)によって行われた

 

Logicool G402が真の世界最速になるには、更に10%性能を上げ550IPSに進化する必要がありますね。

 

くだらない比較はここまでとし本題に戻ります。

 

Logicool G402の分解修理方法

 

マウスの分解は下記記事で経験済だと過信し、下調べせずG402を分解してしまいました。

www.heavy-peat.com

 

しかし、これは浅はかな考えでした。次に説明しますが、出だしから失敗しました。

 

マウスソールを剥がす

マウスはベースにカバーがネジ止めされています。通常にネジはPTFE(通称テフロン)製のマウスソールの下に隠されてます。

 

ではマウスソールを剥がしてみます。

あれっ?ネジが見当たりません。他の場所のマウスソールを剥がしても同じです。

 

うっ、ゲーミングマウスってカバーはどうやって止めてんの?まさかはめ込み?と思ったのですが、良く見るとマウスソールの剥がし方が悪かったようです。(汗)

 

マウスソールは4層構造(PTFE + 両面テープ + エラストマー + 両面テープ)で、PTFEとエラストマーが界面剥離しベースから両面テープが剥がれていなかっただけでした。

 

更に良く見るとマウスソールを剥がす時の手がかりとなるマイナスドライバーが入る溝があるではありませんか。

 

"あトん"は老眼でこの溝を見逃してました。(汗)

 

4カ所のマウスソールをきちんと剥がすと、ネジが5カ所出現しました。

 

ネジの頭は特殊形状でなかったので、サイズNo.0のプラスドライバーで外せます。

 

メガネのネジを締める時に使うミニドライバーがあったのでこれを利用します。

 

カバーとベースの分離

5つのネジを外すと、カバーとベースに分離できました。ぱっと見た感じでは、目に付くゴミの付着はなさそうです。

 

基板を観察すると「左クリック」「右クリック」「DPIアップ」「DPIダウン」「DPIシフト」「進む」「戻る」のマイクロスイッチが7個、「中央ボタン」タクトスイッチが1個配置されてました。

 

内部が比較的きれいだと言うことはマイクロスイッチ単品不調の可能性が高いですね。

 

マイクロスイッチは基板から外して付け替えれば良く簡単な作業ですが、せっかくなので全部徹底的に清掃しようと思い、カバーの内側を見たところ驚きの構成でした。

 

カバーの内側はネジだらけでした。

ネジで部品を固定するなんて20年古い設計でフランケンシュタインみたいですね。

 

デザイナーの要求通りに部品の形状を配置してしまい、苦肉の策でパーツをネジ止めにしたように思えます。

 

こんなにネジをたくさん使っているマウスは初めて見ました。世界最高速のマウスは、世界でも類を見ないコストがかかった構成のようです。

 

余計なお世話かも知れませんが、Logicoolのデザイナーとエンジニアはバンダイの静岡工場へ見学に行って最先端技術を見て来て欲しいですね。

 

上のサイトを見ればわかりますが、バンダイの成形技術はとても進んでます。

 

今年は更に進化しており、従来ガンプラは最後着色して完成するのですが、成形だけで色もきれいに再現しているのです。

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カバーの分解

さて、写真で見えているネジを全部外したのですが左側面のボタンは外すことは出来ませんでした。

 

ここまで来ると意地でも全部外してやろうと燃えてきました。

 

いろいろ試行錯誤していたらマウスホイールをカバーしている外装が外れることが分かり、これを取り外しました。

 

すると天井に4カ所ネジで固定されている部分が露出しました。

 

 

天井の4つのネジを外すと、右クリック、左クリックのカバーを分離することができました。

 

やった!これで左側のボタンを外せると思いきや、いろんな所に引っかかって外れません。

 

実は左側面のボタンは知恵の輪みたいな組立構造になっているのです。

 

どこで位置決めしているか大体わかったので、知恵の輪を解いて、やっと部品を取り外すことが出来ました。パチパチ。

 

ホイールの確認

カバーの清掃が終ったので次はホーイルに異常がないか確認します。

 

ホイールを支えているハブの内周面には円周方向に溝があり、この溝にクリックばね嵌って押さえている構造でした。

 

クリックばねは回転支点を中心にテコの原理で加圧ばねで加圧されており、ホイールを回すとクリックばねが溝を乗り越え、クリック感とホイールの停止を制御してます。

 

よく見るとホーイルの内側には少し綿ゴミが付着していたので取り除きました。

 

これはホイールを側面から見た写真です。ホイールのハブの側面には円周方向に細いスリットが切られてます。このスリットを光が通過する時間を検出して回転量を算出するロータリーエンコーダとなってました。

 

ベースの分解

カバーの清掃が想定外の部品構成になっていたので、ここまで1時間以上かかりました。

 

あと1時間でお昼になるので、マイクロスイッチのチェック・交換の作業を加速させます。

 

ベースにネジ止めされている基盤を外してみました。フェライトコアはノイズ対策で入れたのでしょうか。

 

ライトガイドレンズは何とベースにはめ込みでネジ止めされてませんでした。ブルーLEDのライトガイドはネジ止めしているのに、精度の高い光学部品をラフに固定しているのが不思議でした。

 

光軸が多少ずれても性能に影響ないくらいマージンを持っているか、他機種の部品を流用しているのでネジ止め出来なかったか、設計者のレベルが低いのか、いずれかでしょう。

 

マイクロスイッチの交換

それではチャタリングの原因となっているマイクロスイッチを交換します。

 

左クリック、右クリックに使用されている2つのマイクロスイッチはオムロン製ですが、型番は良く見えないので不明です。

 

他の5つはメーカ不明、ロット不明の廉価版のようです。

 

実は交換用の新しいマイクロスイッチは持ってません。左右のマイクロスイッチを付け替えることにしました。

 

理由は右クリックは統計的にあまり使用されないので劣化が少ないはずです。これを左クリックに付け替えて使用する作戦です。

 

調子が悪い左側のマイクロスイッチを右クリックに変更して大丈夫かですが、右クリックで連打することはないので、実用上問題ないと思ってます。

 

それではマイクロスイッチの半田を取り除いて外します。

 

半田を取り除く道具は「はんだシュッ太郎」が便利です。専用道具がない場合は、半田吸い取り線を使って下さい。

左右間違えないように、左側のマイクロスイッチに赤マジックで目印を付けておき、半田を吸い取って外します。

 

取り外したマイクロスイッチの型番はD2FC-F-7N(20M)でした。機械的寿命は2000万回(120click/min)の性能となってます。

 

Logicoolのマウスの仕様で耐久性が2000万回となっているものは、マイクロスイッチの耐久性を指しているのです。

 

最後はマイクロスイッチを基盤に半田付けします。半田付けする時の注意点ですが、マイクロスイッチが基盤に密着して隙間が空かないようにして下さい。

 

マイクロスイッチより発光ダイオードとフォトトランジスタが出っ張っているので、穴が開いた適当な台にのせ、重りをかぶせて基盤を固定し、半田付けすると良いでしょう。

 

無事半田付け終了です。

 

最後の仕上げに接点復活洗浄剤をマイクロスイッチに吹き込んでおきます。

 

修理が終ったので、今度は元に戻します。

 

戻し作業で一番苦労するのは、戻る/進むボタンの取り付けです。

 

DPIシフトボタンに小さなボスがあるのですが、戻る/進むボタンの穴にこの小さなボスを通して下さい。

 

 カバーにすべての部品を取り付けます。

 

ベースに基盤を取り付けます。

 

ベースにマウスソールを貼り付けます。

 

ベースとカバーをネジ止めして無事完成です。パチパチ。

 

まとめ

LogicoolのG402はネジを31個も使用しないと組立られない複雑な構成で修理がとても大変な機種でした。もし、故障したら買い替えることをおススメします。

 

なお、スピードは世界最速ではなく、バトミントンの羽根の初速の次に速いスピードでした。

 

余談

Logicoolのゲーミングマウスは2018年9月現在13製品が発売されてます。

ゲーミング マウス、ワイヤレス ゲーミング マウス、Mac/Windows、MOBA&FPSゲーミング マウス | ロジクールG

ロジクールGのプロ仕様のゲーミング マウスは、大会に最適な必勝ギアです。MOBAゲーミング マウス、超高速のFPSゲーミング マウス、調整可能なゲーミング マウスなど、数多くのゲーミング マウスをラインナップしています。

 

各製品の仕様を見たところ、最新のマウスの耐久性は何と5000万回となってました。

サイトの宣伝文句は以下となってます。

 

持続するパフォーマンス
マウスの設計、構築、テストにおける35年を超えるロジクールの専門知識に基づいて作られたPRO Wirelessは、eスポーツプロ選手がトレーニングとトーナメント中に持ちこたえられるように設計されています。PROの表面は耐久性とグリップのためにコーティングされています。フィートはテストされ、250kmを超える使用を可能にしています。左右のボタンは5,000万回を超えるクリックに持ちこたえます。これは5年間、毎日10時間のトレーニングに相当します。 

 

しかし、保証期間は2年となってました。上の説明では5年間の耐久性があると言っておきながら、製品の品質に自信がないのでしょうか。 (※)

 

※「G600」 「G502」「G100s」は2000万回のマイクロスイッチで3年保証となってはいるものの、「***使用環境・状況によって異なります。」と条件付になってます。

 

5000万回の耐久性をもつマウスのマイクロスイッチはオムロンのD2FC-F-K(50M)が採用されているのですが、マイクロスイッチ以外の部品は2年以上の耐久性を担保できないと思われます。

http://en.chanlin-ele.com/Uploads/201601/568ce2c9eeda4.pdf

 

従来耐久性が2000万回のマイクロスイッチを使用していた時代は、マイクロスイッチの故障で無償交換が発生する場合が少なくないので補償費を確保する必要があったのではないでしょうか。

 

メーカとしては少し高いD2FC-F-K(50M)を採用した方が利益があるのです。

 

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それでは今回の記事はこれでおしまい。

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